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FP3級

【1問1問】FP3級「単利と複利」——雪だるまの転がし方を、4問と図解2枚で

“利息に利息がつく”を、電卓で体感する回

FP3級・初学者向け・約5分・更新 2026-06-10

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「複利って、利息に利息がつくやつでしょ」——はい、そのとおり。私も知っていた。言葉としては。

でも白状すると、FP3級の勉強を始めるまで、単利と複利で実際いくら違うのか、電卓で出したことが一度もなかった。言葉だけ知っていて、中身を触ったことがない。そういう知識は、試験では使えないし、たぶん人生でも使えない。

今日は4問、ぜんぶ電卓で手を動かして、雪だるまの転がり方を体感してもらう。最後に、以前書いた『6つの係数』への種明かしも待っている。

違いは一つ:利息が「どこに」つくか

先にルールだけ整理する。

単利は、利息が元本にだけつく。100万円を年2%で預けたら、利息は毎年2万円。何年たっても2万円のまま変わらない。

複利は、ついた利息も元本に組み入れて、利息にも利息がつく。1年目の利息2万円が2年目には元本の仲間入りをして、2年目の利息は「102万円の2%」になる。雪だるまを転がすと、くっついた雪にもまた雪がつく——あれと同じだ。

【問1】単利:100万円を年2%で3年預けると?

単利の計算は、かけ算1回でいい。利息は毎年 1,000,000円 × 2% = 20,000円で固定。3年分で60,000円。

3年後 = 1,000,000 + 20,000 × 3年 = 1,060,000円

直線的に、同じペースで増えていく。シンプルで分かりやすい。

【問2】複利:同じ条件だと?

今度は1年ずつ転がす。電卓を用意してほしい。

1年後:1,000,000 × 1.02 = 1,020,000円。2年後:1,020,000 × 1.02 = 1,040,400円(利息が20,400円に増えた)。3年後:1,040,400 × 1.02 = 1,061,208円(利息は20,808円)。

単利の1,060,000円に対して、複利は1,061,208円。差は1,208円

……正直、「えっ、それだけ?」と思わなかっただろうか。私は思った。でもこの“地味さ”こそが複利の罠で、本領は時間をかけたあとに現れる。次の問題でそれを見る。

単利と複利の比較図。100万円を年2%で運用すると、単利は毎年20,000円ずつ増えて3年後1,060,000円。複利は利息が20,000円、20,400円、20,808円と増えていき3年後1,061,208円
上が単利(利息は固定)、下が複利(利息が育つ)。3年ではわずかな差だが——。

【問3】では、10年置いておくと?

同じ100万円・年2%を、10年。単利と複利でいくら差がつくか。

単利は簡単だ。20,000円 × 10年 = 200,000円の利息で、1,200,000円

複利は 1,000,000 × 1.02を10回 = 約1,218,994円。差は約19,000円に広がった。3年で1,208円だった差が、10年で約16倍だ。

そして大事なのはここから。複利の差は、期間が延びるほど・利率が上がるほど、加速度的に開いていく。年2%・10年では2万円弱でも、利率が上がれば景色は一変する。それを暗算で体感できるのが、次の「72の法則」だ。

【問4】72の法則:お金が2倍になるのは何年後?

72 ÷ 金利(%) ≒ 元本が2倍になるおおよその年数。複利運用の世界で昔から使われている暗算テクニックだ。

年2%なら、72 ÷ 2 = 約36年。年6%なら、72 ÷ 6 = 約12年。検算してみると、1.02を35回掛けるとほぼ2.0、1.06を12回掛けると約2.01。あくまで概算だが、実用には十分な精度で当たる。

この法則の本当の使いどころは、利率の違いを“年数”で体感できること。1%なら72年、6%なら12年。同じ「2倍」への道のりが、利率でこれだけ変わる。複利は時間と利率の掛け算なのだ、というのが腹に落ちる。

72の法則の図。72を金利で割ると元本が2倍になるおおよその年数がわかる。年1%なら72年、年2%なら約36年、年6%なら約12年
72÷金利=2倍までの年数。利率が変わると、道のりがこれだけ変わる。
白猫

白猫:「複利すごい」を言葉で覚えるんじゃなくて、電卓で1.02を10回掛けてみて。指で覚えた知識は、本番でも人生でも残るよ。

試験では、こう顔を出す

単利・複利は、それ自体が学科の計算問題や○×で出るほか、いろいろな論点の“土台”として顔を出す。

学科なら「複利は元本に利息を組み入れて計算する→○」のような正誤や、預金商品の利息計算。実技なら、今日の計算をあらかじめ表にした係数表を使う問題として登場する(このあと種明かしする)。そして金融資産運用の分野全体——債券の利回りも、投資信託の基準価額の話も、根っこには「お金は時間とともに増減する」という今日の感覚が流れている。

もうひとつ。以前の『新NISA』の記事で「つみたて投資枠」の話をしたが、なぜ世の中がこれほど“長期のつみたて”を推すのか、今日の問3と問4が答えになっている。複利は時間が長いほど効く。だから若いうちから少額でも始める意味がある——という理屈は、複利を電卓で体感した人には、もう説明不要のはずだ。

種明かし:『6つの係数』の正体は、この計算だった

最後に、以前の記事『6つの係数』を読んでくれた人への種明かしを。

あの記事の問1で、「終価係数(2%・10年)=約1.219」という数字を使った。今日の問3を思い出してほしい。1.02を10回掛けると——約1.21899。つまり1.219

そう、終価係数の正体は、複利計算の答えをあらかじめ表にしたものだ。試験で係数表が与えられるのは、本番で1.02を10回も掛けさせるわけにいかないから。係数は魔法の数字ではなく、今日あなたが電卓でやった計算の“作り置き”だった、というわけだ。

単利と複利が手に馴染んだら、係数の記事をもう一度読み返してみてほしい。あのとき呪文に見えた6つが、ずいぶん素直に見えるはずだ。なお、実際の金融商品の利回りや課税は商品ごとに異なるので、お金を動かす際は必ず公式情報・商品説明を確認してほしい。

複利は“利息に利息がつく”雪だるま。そして6つの係数は、その計算の作り置きだ。

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